「うちの子が勉強しない」
「やる気が出ないと言って何もしない」
子ども本人にとっては
「勉強しろ」と言われると、やる気が下がる。
思春期や反抗期の時期である子どもに対して
「勉強しろ」と声をかける場面は少なくありません。
けれど
その一言が逆効果になっているかもしれない
としたらどうでしょうか。
なぜ、言えば言うほどやる気が下がるのか。
どうすれば“本当のやる気”を引き出せるのか。
「勉強しろ」は逆効果なのか。
もしそうなら、どんな言葉掛けが効果的なのか。
本記事では
「やる気が出ない理由」と「具体的な対処法」を
経験を元に解説し、実践できるヒントをまとめました。
やる気がなくなるのは、あなたがダメだからではない
「勉強しろ」と言われるほど
やる気がなくなるのは
意志が弱いからでも
性格が悪いからでもない可能性があります。
むしろ、人の心のしくみとして
自然に起こりやすい反応だと考えられています。
だからこそ大切なのは
「どうして自分はやる気がなくなるのか?」を知り
別の方法を選べるようになることです。
特に、勉強が好きな人は
そこまで多くはないと思います。
どうして、ゲームやテレビなどは
長時間座り続けていても
飽きないのでしょうか?
面白いように設計されているという面が
考えられますが
同じように勉強も面白く設計できないのでしょうか?
私は大人になってから
勉強の面白さに気付きました。
と言っても
社会の人物名を覚えたり
難しい数式を解いたり
テストの点数を上げたりするという
勉強の面白さとは少し違います。
勉強とは「知らないことを探究すること」と
言える側面もあります。
学校の勉強といえば
覚えたり点数を上げたりなどの
個人の能力差が関係することが
重視されていると見ることもできます。
そのような動機では
関心や意欲が生まれづらいと
捉えることもできます。
人は“命令”されると反発したくなる
心理学では
人は自由を奪われたと感じると
それを取り戻そうとする気持ちが
強くなると言われています。
これを「心理的リアクタンス」と呼ぶことがあります。
簡単に言えば
「やれ」と言われると
「やりたくない」と思いやすい
という心の動きです。
具体例
- ゲームをしていたら「早くやめなさい」と言われて
余計にやりたくなった。 - 「今からやろうと思ってたのに!」とイライラした。
こんな経験はありませんか?
実はこれは
多くの子どもだけでなく
大人にも見られる反応だと言われています。
学校現場では、先生がクラスに入り
「今日の学習は◯◯です」と投げかけると
「え〜」という声が上がることも少なくないでしょう。
先生には「教えなければならないこと」があり
子どもは「もっと楽しいことをやりたい」と感じている。
勉強が分からなかったり
やらされているという感覚があったりすると
このようなすれ違いが起きてしまうという
捉え方もできます。
そのような時は、まず
「楽しいことをする」ことが有効だと
考えられます。
特別支援学級で担任をしているときに
集中力が続かない生徒がいました。
その生徒の授業では
始めにサッカーやテニスなどの
運動を20分程度行います。
そうするとどうでしょう
45分間学習が滞っていたのが
残りの20分は集中して学習をしていました。
有酸素運動後の集中力の高まりについては
様々な研究で有効にはたらくという
データも実証されています。
※詳しくはこちらの書籍をご覧ください。
また、よくある取り組みとして
「アイスブレイク」の時間があります。
緊張をほぐし、コミュニケーションを
円滑にする効果があると定義されています。
具体的には簡単なゲームなどを行なって
リラックスしたり意見を出しやすくしたりする
効果があるとされています。
ある学校の中学2年生の学活で
グループごとに「ペーパータワー」を
行いました。
ペーパータワーとは
紙を使ってできるだけ高く積むゲームです。
道具は使用禁止以外、何をしてもよく
グループ対抗で盛り上がっていました。
ゲームが終わった後は
「自主学習率を高めるためには」
についての話し合いでした。
後ろ向きになりそうな議題でしたが
思いの外、意見が飛び交い
活発的な話し合いができました。
ワンポイントの工夫で
「やらされている」から
リフレッシュした気分になるという
効果も期待できる側面があります。
「やらされる勉強」になると意味を感じにくい
最近の教育では
「主体的・対話的で深い学び」が
大切だとよく言われます。
これは
「自分で考えて学ぶほうが、やる気が続きやすい」
という考え方に近いものです。
反対に
- テストのためだけ
- 怒られないためだけ
という理由で勉強していると
「自分ごと」になりにくいことがあります。
※主体的な授業についてはこちらの記事を
参考にしてください。
ある学校の中学3年生は
勉強が苦手な人が多いクラスでしたが
行事の企画や動画を作ることに
熱を込められる特徴のあるクラスがありました。
運動会や送る会など
高校の文化祭レベルかと感じさせるくらい
手の込んだ演出をするクラスでした。
そんなクラスならと思い
保健の授業では、知識を教える授業ではなく
自分たちで単元ごとに調べて発表し合う
という学習形態で行いました。
すると、どうでしょう。
保健の知識を用いてプレゼンをするグループ
ブレインストーミング形態で発表するグループ
動画を用いて発表するグループなど
生き生きとした授業になりました。
活動を伴って行うので
印象に残る内容が多いのか
テストでも平均点が上がりました。
受け身の授業よりも
自分たちに合う方法で
自分たちのやりやすい表現で
行うことで自然と知識も蓄積されていると
捉えられる側面もあります。
否定されると「どうせ無理」と感じやすい
何度も注意されたり
点数だけを見て比べられたりすると
- 「自分は勉強ができない人なんだ」
- 「どうせやっても無駄」
と感じてしまうことがあります。
これは「学習性無力感」
と呼ばれることがあります。
難しい言葉ですが
「がんばっても変わらないと思ってしまう状態」
と考えると分かりやすいでしょう。
学習以外でも
「ダメだ」「◯◯してはいけない」などの
否定語を指導で使用してしまうと
どうすればいいか分からなくなってしまう
状態にも陥りかねません。
ある学校の特別支援学級で
自閉傾向の強い「広汎性発達障害」
と診断されている生徒がいました。
その生徒はとにかく避難訓練が苦手でした。
放送が流れれば暴れ
予定表に書いてあれば
毎日、避難訓練の話題でした。
その生徒に「暴れないように」と指導をすると
訓練の放送が鳴る瞬間に暴れ出してしまいました。
否定語を使った指導では
消極的な行動に出やすくなると
捉えることもできます。
では、どうすればいいのか。
行ってほしい行動を促すと
違った行動をする時があります。
先ほどの生徒に
「暴れない」ではなく
「放送がなったら静かに聞こう」
と言葉掛けすると
自分がどんな行動を取ればいいのかが
分かり、静かに放送を聞いていました。
この話は一見、「学習性無力感」と
関係のないように感じますが
要は「自己暗示」と同じように
捉えることもできます。
「どうせ無理だ」と消極的な言葉を使うよりも
「できた」「してみよう」「◯◯が大事」
というようなポジティブな指導だと
「どうすればいいか分からない」から
「これをすればいいんだ」という考えに
移行しやすいと捉えることもできます。
では、どうすればいいのか?
ここが一番大切なポイントと言えます。
「言われても平気になる」
ことを目指すのではなく
やる気が動きやすい方法を促す
という考え方もあります。
①「やらなきゃ」ではなく「どれからやる?」と考えてみる
命令ではなく、選択に変えてみる方法です。
- 英語と理科、どちらから始める?
- 10分だけやる?それとも1ページだけ?
自分で選ぶだけでも
気持ちが少し変わることがあります。
また、「やらない」という選択肢がなくなるので
小さな一歩でも踏み出しやすいと
捉えることもできます。
ある学校で「放課後講座」を
行なっていました。
選択肢としては
1)先生の授業講座を受ける
2)ワークなどを使って自習する
これだと「勉強をする」以外の
選択肢がないので
みんな集中して学習をしていました。
また、異学年と行うことで
お互いの存在が刺激し合い
普段、勉強が手につかない生徒も
一生懸命行う姿が見られました。
② 小さく始める
「1時間やる」ではなく
「5分だけやる」と決める。
行動心理学では
「始めるハードルを下げる」ことが
効果的だと考えられています。
始めると、意外と続くこともあります。
学校現場でも学期始めの学活では
生徒自身が学習の目標を立てることが
あると思います。
そんな時、勉強が苦手な生徒ほど
「長時間の勉強をする」という
目標を立てることがあると思います。
それよりも
「10分やる」
「プリント1枚をする」
という目標の方が
実現しやすいという側面もあります。
また、今まで勉強したプリントをファイルに挟んだり
勉強をしたらシールを貼ったりすると
視覚的にプリントやシールの量が増えるので
学習をしてくる生徒が増えたという
私自身の経験もあります。
③ 「何のため?」を考えてみる
- 将来やりたいことは?
- どんな自分になりたい?
答えがすぐに出なくても大丈夫です。
勉強をする意義を考えること自体が
自分の勉強を「自分のもの」に近付けます。
「この高校に入るために5教科の勉強をする」
という「何のため?」も大事ではありますが
もっと大事にしてほしいのが
「好きなことへの興味を膨らませる」ことです。
自分の興味あることを調べ、勉強し
将来の目標にすることは
モチベーションを高めやすい一面もあります。
また、好きなことのためなら
苦手分野も勉強せざるを得ません。
「この高校に入るから勉強をする」よりも
これが好き→
これになりたい・続けたい→
その過程でこの高校に入る→
好きなことと苦手なことを勉強する
学校現場で「生き生きとしている生徒は」
以上のような目標が見えている人が
多い印象があります。
それを考えると
もう少し「キャリア教育」や「職業教育」が
充実してくると良いなと感じる時もあります。
※日本の学校の職業観については
こちらの記事を参考にしてください。
まとめ:やる気は“命令”では生まれにくい
「勉強しろ」と言われてやる気がなくなるのは
子どものせいとは言い切れません。
「勉強の具体が分からない」という
側面もあります。
大切なのは
どうすれば少しでも動きやすくなるかを
探すことが重要な一面だと捉えることもできます。
今日は、ぜひ一緒に
「5分だけやってみよう」と誘ってみてください。
それができれば、子供にとっては
大きな大きな一歩となるでしょう。
あなたはどんな言葉を掛けますか?
また、
どんな気持ちで机に向かいますか?
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
拙い文章でしたが、次回も読んでいただけると嬉しいです。






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