「学習指導要領って、結局何が変わるの?」
「アクティブラーニングや探究学習って、本当に必要なの?」
「これからの学校教育で、教員は何を意識すればいいの?」
近年、「学習指導要領 改訂」「次期学習指導要領 2030」
「生きる力」「主体的・対話的で深い学び」「ICT教育・AI活用」
などのキーワードが、教育現場で急速に注目されています。
しかし、現場では
「結局、何をどう変えればいいのか分からない」
「言葉は分かるけど、実践に落とし込めない」
と感じている教員も多いのではないでしょうか。
特に若手教員にとっては、日々の授業や学級経営に追われる中で
学習指導要領の本質を理解し、実践に活かすことは
簡単ではありません。
では、現行の学習指導要領と次期学習指導要領は何が違い
これからの学校教育ではどのような力を育てる必要が
あるのでしょうか?
そして、「生きる力」とは
これからの不確実な社会を生きる子どもたちにとって
どのような意味を持つのでしょうか。
本記事では、現行・次期学習指導要領の重要ポイントを
整理しながら、教育現場で求められる指導の視点と
これからの授業づくりのヒントを具体的に解説します。
学習指導要領で重視されている内容
まずは、現行の学習指導要領と次期学習指導要領で
重視されている教育のポイントをピックアップして
これからの学校にどんな教育が必要か整理していきたいと思います。
現行の学習指導要領
現行の学習指導要領(平成29・30・31年より)では
主に4つのポイントが示されています。
※引用元:現行学習指導要領
①資質・能力の3本柱
3本柱とは
◯知識・技能
知識を知っているだけでなく
活用できるということ。
◯思考力・判断力・表現力等
課題解決のために比較や分析、関連付けし
情報の信頼性をもとに複数の選択肢から選ぶこと。
また、文章や図表などを用いて自分の考えを
根拠を示して分かりやすく伝えること。
◯学びに向かう力・人間性等
主体性、粘り強さ、自己調整、協働性や規範意識など
自ら学び続け、よりよく生きようとすること。
②主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)
自ら課題や問いを見つけて取り組むこと。
他者との意見交換を通して考えが深まること。
疑問を深くまで追求し
根拠を用いて説明できるようになること。
③カリキュラム・マネジメント
教育目標を実現するために
教育内容や評価方法などを組織的に繋げること。
全体の指導計画を見直したり
全員で教育活動の質を向上させたりします。
外部人材の活用なども含まれます。
④社会に開かれた教育課程
学校運営協議会や地域、保護者と学校教育目標を
共有し、子どもを育てること。
職場体験や就業体験などを通して
「ひと・もの・こと」に触れることで
子どもたちの育成を目指す。
次期学習指導要領
次期学習指導要領は2030年から順次実施が
見込まれています。
※引用元:次期学習指導要領の論点整理
①3本柱をさらに高度化
3つの力を統合し一体化させること。
3つの力を合わせて、課題解決へ取り組めること。
②学習内容の重点化
学習内容を削減・精選し、本質的な概念の
重要な学習に深く取り組むこと。
現行では「広く浅く」だったのが「狭く深く」になった。
③情報活用能力・デジタル対応力
読み・書き・計算に並ぶ第4の基礎教養です。
情報を収集・判断・活用し、課題解決や表現に活かす力。
ICTやAIの理解と活用も含まれる。
また、ネット社会での倫理やプログラミング的思考
なども育成する。
※AIを使った授業の記事はこちらを参考にしてください。
④「学びに向かう力・人間性」の再定義
現行では「やる気」や「態度」の育成だったものが
「自分の学びや人生を自ら設計・調整し続ける力」
を育むことに定義を再編成すること。
新たな単語として「ウェルビーイング」も登場。
※ウェルビーイングの記事はこちらを参考にしてください。
⑤探究・教科横断学習の深化
教科で学んだことを実社会につなぎ
自分ごととして捉えて探究すること。
全ての教科を探究的に学び、教科と教科をつなぐこと。
自ら課題設定をしたり情報を収集・分析したりなど
「答えのない問題に対応する力」を育成する。
⑥不確実な社会への対応力
AIの劇的な進展やグローバル化による価値観の多様化
などの社会の変化の速さに対応すること。
将来の予測が困難な時代に、どう生きるかを考えられること。
正解のない状況でも、自ら考え、選択し、行動
し続けられる力を育成する。
「生きる力」を育むとは?
現行の学習指導要領から次期学習指導要領への
動きとして、大枠に沿って整理しました。
いずれの項目でも言えることは
「予測困難な社会の中で、自ら課題を見つけ、考え
判断し、よりよく生きていく力」を身につけることと
捉えることができます。
では、「よりよく生きる力」とは何なのか。
基礎学力が高いと言える日本の教育に
どのような力が大切なのか。
具体的には3つに分解できます。
①確かな学力
②豊かな人間性
③健やかな体
※文科省の生きる力を参考にしてください。
では、どのような学校教育が必要なのか。
従来の教育では、教師が説明したことを
子どもたちがどれくらい覚えたかということが
基準でした。
これからは覚えるだけでなく
疑問を持ち、自分なりに考え、他者と対話をすることによって
自分の考えを表現することが重要になってきます。
総合的な学習を中核に、正解のないテーマや
社会と繋がっている課題に取り組むことで
課題設定、情報収集、分析、発表、振り返り
などの能力を育成していく。
また、試行錯誤をしている段階で
「失敗」を乗り越える経験を作ることも必要です。
記憶重視(テスト方式)の教育では
「分からないからどうしよう」や「間違えたら笑われる」
などといったことが学習意欲を低下させている
要因の一つと考えられます。
何かを「知りたい」と思わせることで
課題解決学習に繋がり、パフォーマンス評価にも
寄与できるという一面があります。
※課題解決学習(PBL)に関する記事はこちらを参考に
してください。
※評価に関する記事はこちらを参考にしてください。
パフォーマンス評価には、論述やレポート、発表
話合い、ポートフォリオなどがあります。
さらに、このような学習の主役は「生徒」であり
教師はファシリーテーターとしての役割を
重視することが重要となります。
若手教員の実践例
私の実践として保健体育の例を挙げたいと思います。
保健では、教科書のページ(1単元)ごとに
生徒たち自身が調べてきたことを学級で発表する
という形態で行いました。
例えば、中1の「健康の成り立ちと疾病の発生要因」
であれば、教科書を見て「健康とはどんな状態か」
「病気にかかる理由や対処法」などを2〜3人の
グループになってまとめます。
まとめたものを1時間使って、学級の前で発表します。
そこには、基礎的な知識はもちろんのこと
単語の意味や自分の考え、自分たちはどう行動すればいいのか
など「ミニ先生」になったつもりで発表します。
グループによってタブレットでスライドを作ったり
グラフや図を用いたり、手書きでポスターのように
デザインしたりとグループに合った方法でまとめます。
教科書をベースに調べ学習を行っているので
感覚的に「答え」が分かっている内容もありますが
疑問を調べ、データを分析し、自分の考えを表現することは
「生きる力」を育てる学習方法の基盤になっていると
実感することができました。
きちんと調べられているグループであれば
発表を聞いている生徒から質問などが挙がり
受け答えするように、対話の質も上がります。
しかし、まとめ方が分からなかったり
疑問がなかったり、自分の考えが出てこなかったりすると
教科書を写しただけの発表になってしまう
こともありました。
そうすると当然、教科書を見れば内容が分かりますし
質問も出てこない状態になります。
発表原稿を教師の手でボリュームアップしたり
まとめ方を事前に指導したりなどの
課題が見えました。
また、調べる内容や量もたくさんあるので
その時間を確保するには
生徒の「自主性(空いた時間)」に委ねられてしまい
濃い内容の発表に至るグループが少なかったように
感じています。
今後は、課題解決のサイクルを促せるように
引き続き研究していきたいと考えています。
若手教員によくあるFAQ
Q1.アクティブラーニングって、結局どんな授業をすればいいの?
「アクティブラーニング=話合い」と
直結させないように気をつけなければいけません。
ポイントは、生徒が問いを持ち、考え・対話させ
納得したことを根拠をもって説明できる能力を
育成することです。
些細な個人の問いをノートに書かせるなどして
ペアで対話し、グループなどに輪を発展させ
全体で共有するような流れです。
その時、問いの質や答えのない解答を肯定する
ことが重要になります。
Q2.ICTやAIはどの程度使えばいいの?
「使うこと」が目的ではなく
「思考を深めるための手段」として活用します。
情報収集・整理・表現の基本的な能力を高めるために
使うのがポイントです。
使うかどうかのポイントは
学びが深くなるか、時間を有効に使えるか
対話や探究が促進されるか
などを考えると良いでしょう。
逆に、基礎の定着を促すときや生徒の思考を奪ってしまうとき
紙でも十分なときは無理に使う必要はありません。
Q3.生徒が主体的に動いてくれません…
最初から主体性は育たないので安心してください。
その状態が続くのであれば、授業内容を設計し直す
ことが必要かもしれません。
問いがつまらない・簡単ではないか
正解主義が強くないか、自分ごとになっているか
などを整える必要があるかもしれません。
Q4.パフォーマンス評価ってどうやって取り入れる?
レポートや発表、ポートフォリオ(作品集)など
見て分かる材料を蓄積することが重要です。
そのようにすることで「学びの過程」が可視化され
生徒の課題解決の流れを評価することができます。
まとめ
本記事では、現行学習指導要領と次期学習指導要領の
違いを整理しながら、これからの学校教育に求められる
方向性を明確にしました。
・資質・能力の3本柱の捉え方
・主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の本質
・ICT・AIを含む情報活用能力の重要性
・探究学習や教科横断的な学びの必要性
など、「知識習得中心の教育」から
「課題解決・探究型の学び」への転換が
進んでいることが分かります。
最も重要なのは「何を教えるか」ではなく
「どのように学ばせるか」への転換が重要と言えるでしょう。
・自ら問いを立てる
・情報を収集・分析する
・他者と対話しながら考えを深める
・自分の言葉で表現する
といったプロセスそのものが価値になっていくと思います。
つまり、「正解を覚える力」ではなく
「正解のない問いに向き合い続ける力=生きる力」 を
育てることが本質と言えると思います。
・発問を「なぜ?どう思う?」に変える
・説明中心から、対話や発表の時間を増やす
・ICTを「思考を深めるツール」として活用する
・単元のゴールを「知識理解」だけでなく「活用・表現」に設定する
といった改善から取り組めると理解が深まるでしょう。
また、教師は「教える人」から
学びを支えるファシリテーターへ
役割を変えていくことが求められます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
拙い文章でしたが、次回も読んでいただけると嬉しいです。





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