近年、GIGAスクール構想や
Society5.0の流れの中で
ICT・デジタル機器は子どもたちの生活や学習に
欠かせない存在になりつつあります。
社会の流れに乗る一方で
教育現場や家庭で様々な問題が
生じている現実も否定できません。
「禁止すべきか」「使わせるべきか」
という議論も多く行われていることでしょう。
これからの時代、どのように
ICT機器やスマホSNSに関わっていくべきかを
考えていきたいと思います。
※文科省の情報モラルについてはこちら
※文科省の各教科のICTの効果的な活用についてはこちら
※こちらの記事も参考にしてください。
→【教員必見】日本の教育は何を残し、何を見直すべきか?〜学校教育の未来を考える教育改革〜
ICT機器利用の実態
GIGAスクール構想が進み
学校現場の子どもたちにおいて
ICT機器を活用した授業が
日常的に行われているかと思います。
タブレットで学習プリントを行ったり
振り返りや、発問への回答をしたりと
今では、多くの授業で取り入れられています。
その他にも、必要な連絡をclassroomに掲載したり
オンラインで集会をしたりなど
活用の仕方は多岐に渡ります。
※保健体育科の資料ですが
ICTを利用した活動実践がスポーツ庁のサイトに
掲載されていますので参考にしてください。
一方、私が経験した学校では
次のような課題が見られました。
- 休み時間も端末を手放さない
- 授業中にYouTubeを見たりゲームをしたりしている
- 家に持ち帰って破損してしまった
もちろん、ICT機器は「学習の補助」
として教育委員会から無償で提供されているものです。
何度注意をしても
あの手この手でイタチごっこの
繰り返しでした。
しかし、それも仕方のないことだと感じています。
タブレット端末は、授業において
教科書の代わりのようなものです。
教科書に落書きをするのと同じような感覚で
YouTubeやゲームをしているのだと思います。
そういった取り扱いのもとで
「禁止」や「制限」をしても
効果は薄いでしょう。
効果的な見直しやルール作りが
必要になってきます。
その中で、特に重要なのが
「家庭での取り組み」だと感じています。
スマホSNS利用の実態
近年、子どものスマホ所持率は高まっています。
直近で勤めていた学校でも
スマホを持っていない人は
学年で1〜2人しかしませんでした。
さらに、小学生でもスマホを所持しているなど
利用の低年齢化が進んでいます。
そのような実態の中でSNSトラブルが
後を経ちません。
以前勤めていた学校では
自分の画像がSNSに晒されたと
他校から謝罪を求められたこともありました。
また、当該生徒の卑猥な写真を生徒同士で
送り合うなどの事例もありました。
トラブルだけでなく、夜遅くまでSNSを見ていたり
休みの日は一日中スマホを使っていたりなど
スマホへの依存に関しても問題視されています。
※文科省のスマホや学力に関する保護者調査の
資料があるので参考にしてください。
少し説明しておきたいことが
SNSのトラブルの指導は「学校」が
行うという点です。
当然、保護者も学校へ来校されての
生徒への指導という形ではありますが
個人の持ち物であるスマホに関しては
家庭の協力と指導が必要不可欠です。
※文科省から家庭でのスマホ取り扱いの
教育の仕方の資料が出ているので
参考にしてください。
ICTとSNSのメリット・デメリット
前項のように一見すると
課題ばかりに目が行きがちですが
社会の中で発達してきた理由が
しっかりとあります。
メリット
ICT機器のメリットと言えば
一番先に思いつくのが「便利」
だと思います。
学習では、文字を打ち込んで送信するだけで
提出物の管理がずっと楽になります。
ペーパーレスの時代なので
プリントの管理もしやすいですし
連絡や資料の共有も早くなります。
また、学習の効率が上がるという
学校現場では重宝される活用もできますが
小学生や中学生では
中々、そこまでに辿り着かないという
印象も否定できません。
SNSに関しては
情報をすぐに入手できることが可能であり
情報社会の中で「取り残されない」
というメリットがあります。
また、自分の情報を発信することができるので
自己有用感や自己肯定感にも
繋がっている側面もあるかもしれません。
遠くの人とすぐに繋がることができるのも
グローバル社会にとっては有益です。
時代の流れに追いつこうとすることは
人間の本質とも言えるものがあります。
デメリット
子どもたちが使用することで起こる
デメリットは主に3つだと考えられます。
1つ目は、個人情報の漏洩です。
今やSNSでは多くの人と繋がることができ
顔も本名も知らない人とでも
メッセージや画像などのやり取りができます。
そのため、名前や顔写真
位置情報などが知られてしまう可能性があります。
2つ目は、いじめや友人間のトラブルです。
友人同士で盗撮したものを
SNSにアップして問題になったり
複数のグループLINEを作って
悪口を言い合ったりなどです。
複数のコミュニティを作れるので
仲間外れにされたなどのトラブルも
起きやすい状況になってしまいます。
※様々なネット上のトラブルについてと
インターネットの利用状況に関する調査が
総務省から出ていたので参考にしてください。
3つ目は、依存性です。
インターネットが便利になった一方で
情報収集や暇つぶし、情報発信などを目的として
SNSの利用状況が増えています。
※引用元:子ども家庭庁
令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
ネット依存によって
睡眠時間が少なくなる、勉強に集中できないなど
生活リズムが崩れたり、発達に影響を及ぼしたり
することがあります。
電子機器(スマホ・PC)の使い過ぎは
脳の「前頭前野」を疲弊させ、情報処理能力や記憶力
感情のコントロール能力を低下させる
「スマホ脳疲労(スマホ認知症)」を引き起こしてしまいす。
慢性的な「脳過労」は、物忘れ、集中力低下、イライラ
うつ症状、将来の認知症リスクを高める可能性があります。
上記の「スマホ脳疲労」については
様々な学術研究が行われています。
安全・効果的な利用法
このように様々なメリットやデメリットが
存在するICTやSNSですが
社会で普及している以上
上手に付き合っていかなければなりません。
学校編
学校においては、必要のないサイト
へのアクセス制限をかけることが有効だと
考えられます。
各学校に支給されているタブレット端末は
教育委員会に頼めば、利用制限がかけられます。
なので、学習に使用するアプリやツールを
1つか2つだけ使える状態にすると
無闇な使用をせずに済みますし
授業の系統性も維持できると考えます。
Safariなどの使用は制限する必要は
ないと思いますが、検索ができる
YouTubeや各種SNSなどへのアクセスは
制限した方がいいと思います。
このようにすることで
タブレットは学習のためだけに使用できる
というツールになります。
授業中にYouTubeを観たりゲームをしたり
することも軽減されると思います。
また、学校のタブレットや自身のスマホで
問題となるのが「写真」の保存と活用です。
総務省の資料にもあるように
写真を送りあったり編集して遊んだり
することも実態としてはあります。
写真については行事などで
生徒自身がカメラマンを務めることなども
学習の一環ではあると思うので
定期的な削除を学校単位で行えれば
十分かと感じています。
家庭編
おおよそSNSでのトラブルが生じるのは
家庭が多いかと思います。
特に利用理由が「友達と繋がるため」や
「暇つぶし」が多いことを考えると
何のためのスマホなのか疑問が出てきます。
もちろん連絡用として購入したもの
であることがほとんどだと思いますが
子どもたちにとっては「遊びの道具」
としての活用が多いと感じています。
やはり家庭で使用のルールを決めることは
もちろんのことですが
契約時にフィルタリング設定や
ペアレンタルコントロール設定などを
施す必要があると思います。
というのも、トラブルを避けるという
目的はもちろんですが
小学生・中学生では
スマホやタブレットを自制して活用する
ことが難しい年齢だと感じています。
極端に言えば、学校の学習にタブレットを
使用するのは「まだ早い」というのが正直な感想です。
であるため、子どもにスマホを持たせることも
「まだ早い」という意見です。
社会的な流行や子どもの「欲しい」に
報いたいという気持ちも分かりますが
であれば、きちんとしたルール設定や
年齢に応じた制限をかけることが
必要だと感じています。
トラブルに巻き込まれないことと
子どもの発達を阻害しないことを
念頭に入れたICT・スマホの使用を
考えたいところです。
若手教員・一児の父が考えるICT・SNS利用
教員目線編
ICT機器を使った方がいいのか
使うならどのような活用方法がいいのか
教育現場で試行錯誤をしている教員も
少なくないと思います。
私が考えている(実際に行っていた)活用法は
1つツールのみを使用し
学習に使う資料をまとめて送信する
という使い方です。
使っているツールはロイロノートですが
使えるかどうかは自治体によります。
このツールを使えば
学習プリントを充実させるだけで
目標の提示、単元の見通し、評価方法
振り返りなどがアプリ内で完結します。
その他のタブレット使用は基本的にしていないです。
実技動画を撮影するくらいでしょうか。
各教科によりますが
この使い方ができれば
あとの機能はほとんど不要だと考えています。
しかも、保管が便利でペーパーレス対応という
視点のみの採用なので、正直なことを言えば
紙媒体でも何ら変わりはないと考えています。
つまり、教員目線での意見としては
学校の学習でICT機器を使うことは
あまり効果がないと考えています。
確かに提出物の管理や記録
資料の共有には便利ですが
それは教員が使うから便利と言うことができます。
今までプリントを使ってやり取りや
グループワークをしていたのが
ICT機器という形状が変わっただけで
学習への効果が変わった訳ではないと考えます。
以前、生徒から「今の時代なんだから
タブレットで学習プリントを提出した方がいい」
という意見をもらったので
時代が時代だと思いタブレットでの
学習を試みました。
するとどうでしょう。
提出率はほぼ変わらず
資料を見たり動画を撮影して試行錯誤をしたり
することは声掛けがないとしないではありませんか。
従来の紙で行っていたことをICT機器に変えても
学習状況や学力向上に直結していないと感じました。
そのような状況に追い討ちをかけるように
タブレットをYouTubeやゲームに使用する。
さらに、タブレットで文字打ちをするので
字が書けない、漢字が分からない、字形が崩れている
などの問題が増えています。
また、学力が向上(テストで点数を取る)するには
どうしても「書いて」頭にイメージしたものを
アウトプットさせるということが必要だと感じています。
いくら、ICTを活用して苦手を分析しても
アプリで練習問題を解いても
本当の理解(学力向上・テスト点数アップ)は
頭にイメージ(インプット)して
自分なりに説明(アウトプット)できなければ
効果は薄いと考えています。
その手段として「書くこと」がより
効果的だと私自身の経験から言うことができます。
〜私自身の経験〜
教員採用試験の勉強
問題集で一問一答をしてみたり
スポーツのルールブックや学習指導要領を
眺めてみたりしたが、全く点数は伸びず。
それから先輩におすすめされた問題集を
毎日、何周も繰り返し解きまくりました。
プリントの裏紙に自分の解答を書きまくりました。
枚数にしてざっと200枚近くはあったと思います。
(4月から試験前日までの約4ヶ月間)
点数は・・・ほぼ満点に近かったです。
これが勉強法かと社会人になってやっと気付きました笑
もちろん人それぞれ得意はありますが。
※私が使った問題集はこちらをご覧ください。
一児の父目線編
スマホの使用状況は
家庭によって異なりますが
私は自分の子どもにほとんど使用させていません。
「最低限の合理的配慮」としてのみ
活用しています。
まだ、幼い年齢なので
歯磨きやトイレなどのアニメを見せながら
生活自立を促すことに使用しています。
他には、一緒に歌を歌うために
音楽などを流して楽しむ程度です。
なので、休日は外へ連れ出して遊び
食事はテレビを消しています。
意図的に電子機器から遠ざけています。
なのでグズグズした時はスマホを与えるのではなく
抱っこをしたり一緒に座ったりするだけで満足します。
家の中でもままごとや絵本読みをして
アタッチメントを大切にしています。
そのため、車で出かけるときも景色や会話で
満足し、買い物では自分で歩きたがります。
ベビーカーに乗ってもスマホを要求することは
全くありません。
スマホの使い過ぎは脳の発達に良くないことを
先ほど説明したので
このような取り組みはいい傾向だと感じています。
世間の親を否定する訳ではありませんが
抱っこ中や待合中、ベービーカー中も
ずっとスマホを見ているのは
「大人しくしてくれる」かもしれませんが
その間、前頭前野の発達が阻害されていることを
考えると、将来、学校へ通うときに
学校現場が不安にもなります。
若手教員によくあるFAQ
Q1.ICT機器の活用は本当に学力向上につながるのですか?
必ずしも直結するとは限りません。
便利さや効率は向上することが予測されますが
学力向上には「インプット→アウトプット」のプロセスが
自分の言葉などで表現することが伴わなければ
学力向上にはつながりにくいという側面があります。
Q2.紙の学習とICT学習はどちらが良いですか?
一概にどちらがいいかは断定できませんが
役割を分けることが重要だと考えられます。
理解・定着には「書く学習」もしくは「説明する学習」
が効果的であり、共有や管理にはICT紙を使い分ける
ことが理想的だと考えられます。
Q3.ICT機器の利用を「禁止」すれば問題は解決しますか?
解決するとは限らないでしょう。
「禁止」はされた方が反感を買うだけでなく
禁止される本質を否定し、自分の正当化を助長させると
考えています。
なので、禁止ではなく、「どう使うか」を
教える情報モラル教育が必要だと考えます。
※文科省による情報教育教材はこちらを参考にしてください。
Q4.ICT活用がうまくいかないときはどうすればいいですか?
無理に使う必要はないと思います。
デジタル機器を使いこなすのに小学校や中学校段階から
指導をしても、年齢の実態にあった指導をすることは
難しいと考えます。
大切なのは「目標は何か」「目的に合っているか」を基準に
紙に戻すことも選択肢としてOKだと思います。
まとめ
本記事では、主に4つのことを説明しました。
①ICT機器やスマホSNSは、教育現場・家庭の
どちらにも深く入り込んでいる現実
②便利さの裏で、依存・トラブル・学力との乖離
といった問題が起きていること
③「使うか・禁止するか」ではなく
どう関わるかが重要な時代になっていること
④ICT活用が必ずしも学力向上につながるわけではなく
学びの本質は別にあるという視点
特に重要なポイントとして
ICTやSNSの使用は“使い方と環境”を
整えることが重要である。
・「禁止」ではなく、ルール・制限・目的の明確化が鍵
・ICTはあくまで「手段」であり、学力を上げる本質ではない
・子どもは自制が難しいため、放置すると依存やトラブルに繋がる
・学校だけでは限界があり、家庭との連携が不可欠
① 学校でやるべきことは
- 使用ツールを限定し、学習目的に特化した運用にする
- YouTubeやSNSなど、不要な機能はアクセス制限を設定する
- ICTは「補助」と位置づけ、書く・考える学習を中心に据える
② 家庭でやるべきこと
・「与える前」に使い方を教える意識を持つ
・スマホの使用ルール(時間・場所・目的)を明確にする
・フィルタリングやペアレンタルコントロールを設定する
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
拙い文章でしたが、次回も読んでいただけると嬉しいです。








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